高校時代に書いた映画ノート
高校時代,もっとも好きだったのは映画でした。映画の月刊誌「スクリーン」や「ロードショー」が刊行されると,繰り返し読み返していました。
ほぼ毎週,福岡市の家の近くにあった天神のセンターシネマ(名画座)や中洲の映画館で,新旧の映画を見ていました。テレビで放送される映画,特に映画解説者の淀川長治さん(1909~1998年)の解説がある「土曜洋画劇場」(NETテレビ,現:テレビ朝日)も,受験勉強おかまいなしに,毎回楽しみでした。
福岡市で開かれる新作映画の試写会に,あの淀川長治さんが来られると聞いて,応募葉書を何枚も出しました。
おかげで淀川長治さんの生の話を聞くことができたのは,一生の思い出になりました。
テレビで放送される映画も,いつも真剣に見ていました。あまりにも感動した時は,その思いをそのままノートに記すようになりました。
そんな50年ほど前に書いた「映画ノート」が見つかったのです。
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1969年1月4日(土)〔高校2年生〕 「帰らざる河」(River of No Return)
→音楽
「土曜洋画劇場」で,マリリン・モンローとロバート・ミッチャム主演の「 帰らざる河」を見た。
よかった! 何が? マリリン・モンロー。それにロバート・ミッチャムも。
マリリン・モンローが,今,生きていないのが残念だ。
今までに見たのは,「バス停留所」,「お熱いのがお好き」,「紳士は金髪がお好き」,「荒馬と女」など。
みんな共通して言えることは,マリリン・モンローは,初めは酒場の踊り子のような役で,気が強い女。 しかし,最後には,誰もが愛さずにはいられない女性になる。
「土曜洋画劇場」の解説の淀川長治は,マリリン・モンローの生涯は,「非常にかわいそうだった」と言っていた。 ほんとうにそんな気がする。
不幸な生まれではあったが,やはり表面だけでなく,その心がいとおしい。
「帰らざる河」のマリリン・モンローの最後,いや途中から,誰にも愛されるところが出てくる。
彼女の顔がかわいらしいから,いや,僕には,それよりも彼女の心。
もし,マリリン・モンローが生きていて,僕の話を聞いたら,きっとモンローは,「私の心はそんなんではないわ,醜いのよ」と言うような気がする。
そんなこともあって,自殺(?)したのだろうか。
やはり,女優の中で,マリリン・モンローは,いちばん好きだ。 〔後略〕